黒木 亮
巨大投資銀行 (下) (ルビ:バルジブラケット)
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人気ランキング : 6480位
定価 : ¥ 1,785
販売元 : ダイヤモンド社
発売日 : 2005-11-11 |
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R35 & 金融市場経験者 には5☆、それ以外の人には?? |
ビジネスノベル(経済小説)としてもおもしろいと思いますが、バブル前後の金融市場(株式、債券、外国為替、デリバティブ等々)を実際に経験している人にはとても興味深いと思います。
ただ、金融業界の専門用語が頻発するので、巻末に用語集やスキーム図まで付いていますが、抵抗感が先に立ってスムーズに読めない方もいるのはやむを得ないでしょう。日経新聞の金融欄が抵抗なく読める位なら大丈夫かな?
3人の主人公が登場しますが、シッカリと個性が書き分けられ、キャラクターの混乱はないと思います。モデルになる実在の人物が複数いるのでしょうが、書いている作者の力量も立派だと思います。
また、この作者の特長だと思いますが、海外や国内の景色や食べ物、地元の人々がとても印象深く登場し、簡単な調査やガイドブックの請け売りではなく、作者自身の豊富な実経験に裏打ちされているように感じました。「悪役」として登場する人々もとてもリアルに書き込まれていると思います
主人公が転職直後に、慣れない海外勤務のストレスからついつい奥さんにつらく当たってしまうところなど、私自身もちょっと似たような経験があり、ずしんと重い描写でした。
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バブル前?みずほ誕生時代の外資を絡めた日本の経済史・金融史 |
今まで断片的だった外資投資銀行やM&Aの知識、日本における大きな時事ニュース等が一本の大きな筋が通り、全ての連続した繋がりのある歴史として理解できた。
実際の史実がベースなので、作中の展開を追いながら当時の自分を振り返る作業も同時に行えた。当初思った以上の内容であったため、私にとって非常に価値のある小説となった。
私は金融業界に身を置いたことが無いため、例えば「みずほ」はいつ・どの銀行が合併してそうなったのかといった基礎事項が瞬時に思い出せない。
そのため日経新聞に時折掲載される「大手銀行の再編表」を小さくコピーし直して、しおりにして確認しながら読んだ。
要望・改善点として、上巻巻末には金融経済用語集や、あるファイナンス取引の図解があるが、できれば「銀行再編の歴史」も付け加えてほしかった。文庫化された際は、是非お願いしたい。
(作中の「東都銀行」=「第一勧業銀行」と気付いたのは下巻に入ってからだったので)。
また、小説としての手法も心憎い。最初は意味の無かったと思えたプロローグは読み終えたあとに読み返すとなるほど、と感じてしまう。
エピローグからも、日本経済が踊り場を脱却し上昇局面を迎える今の時代(2005年?)を予感させる描写があり、非常に感慨深い。
金融業界、証券業界、会計、税務に携わる全ての方々に是非読んで頂きたい本です。
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投資銀行と商業銀行のリスクの取り方の違い |
エコノミストとしては、作者が商業銀行(コマーシャルバンク)と投資銀行(インベストメントバンク)の違いに気づいているかどうか、やや不安。
商業銀行と投資銀行の本質的な違いは、商業銀行が自らリスクを取るのに対して、投資銀行はリスクを取らない、ということ。商業銀行は顧客から預金を集めて、それを自らのリスクで融資や投資を行う。預金者は何もリスクを取らない。他方、投資銀行は投資先のファイナンスを手伝うだけ。投資先が必要な資金を証券化したり、その他の手法を用いて、投資家に販売するのが投資銀行の業務。だから、株式の公開や増資、あるいは、社債の発行などでファイナンスされた資金とリスクは投資銀行を通り抜けるだけで、投資家が負うことになる。このため、両者には利益相反が生ずる場合がありファイアーウォールが必要。
もちろん、投資銀行は自己勘定によるポジションを持っているではないか、との反論はありえる。しかし、こういったポジションは個人でも事業会社でも、誰でも持つ場合があり、例えば、輸出企業は外貨の買い持ちポジションにある。自己勘定によるトレーディングではなく、ファイナンスが投資銀行の業務の本質。
要するに、「巨大投資銀行」がややミスリーディングなのは、商業銀行vs投資銀行、の構図で捉えるべきところを、日本vs外資、の構図で書いてしまっている部分が散見されること。もちろん、銀行融資による間接金融が中心の日本と株式や社債などの直接金融が中心の英米とでは、ついつい勘違いしてしまうのかもしれないが、実際に比較すべきは銀行の国籍ではなく、業態の違いにある。自分たちはノーリスクで投資家にボロくずのような商品を売っていたのは外資だからではなく、投資銀行だから。
商業銀行と投資銀行のリスク負担の本質的な違いをきちんと理解すれば、この小説をもっと楽しめそうな気がする。この作者の本は基礎的な経済学の知識が必要。
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歴史小説を読んでる感じ |
80年代半ばから2003年3月の邦銀株価最悪時までの歴史をたどることができます。
シュガー=ソルトとか、Stanley=Spensorとか、ちょっとずつ変わってますが、どこを作者が変えてらっしゃるか、考えながら読むとなかなか面白いですよ。
でも、旧Iに外資から入った人がいたっけ??旧Sだよなぁ??と思いながら、わざわざググって、自分の記憶を確かめたりとか、やっぱりこの業界で年を取ってしまったのかも?と再認識いたしました。
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ためになり面白い |
ここ二十年の日米を中心とした金融経済の流れや投資銀行業務について丁寧に記述されており「教科書」としても読める。一方、登場人物それぞれが個性豊かに描かれており「どこかにモデルがいるのでは?」と思ってしまう。小説としても面白い。エピローグ、宮沢賢治の「生徒諸君に寄せる」はいつ読んでも美しく勇気づけられる文章。黒木氏がわざわざ全文掲載した意味が何となく分かる。